先日、大阪城を訪れた。小学校の修学旅行以来30年ぶり。当時、展示物を見学したのであろうが、歴史に興味があったわけでもなかったので、最上階で大阪市内の町並みを眺め、土産を買ったこと以外覚えていない。
 今回、「大坂の陣400年」と書かれた幟を見た瞬間、気持ちが高鳴った。平成26年が冬の陣、27年が夏の陣から400年に当たる。筆者は、池波正太郎の「真田太平記」を読んだことがきっかけで、真田幸村を好きになった。幸村はこの大坂の陣の大坂方の英雄。冬の陣では、外堀のさらに外側に築いた出丸、真田丸で奮闘し、徳川軍に大打撃。夏の陣では、猛攻撃を展開し家康本陣は総崩れ。家康自身も金扇の馬印を捨てて逃げたとされ、家康本陣が崩れたのは武田信玄に敗れた三方ケ原と後にも先にも2回だけ。真田太平記では最大の見どころで、本当にあと一歩のところで家康の首を取り逃してしまう。大阪城ではそんな幸村に関する展示物や資料が多数展示されており、食い入るように見入った。徳川方と激突する模型等もあり充実したひとときとなった。
 幸村は和歌山とゆかりがあり、関ケ原の戦い以降、大坂の陣まで九度山で父、昌幸らとともに暮らす。真田太平記では、この九度山での暮らしの中で昌幸とともに来るべき大坂城での戦いを仮想し、大坂の陣では亡き父と語り合った戦術を息子が実践。幸村にはロマンが詰まっている。大阪では今後、自治体をはじめ、民間企業も参画して大坂の陣400年プロジェクトが展開される。来年からさまざまな展示会や事業が行われることになっており、この機会に足を運んでいただき、歴史に触れ、和歌山とゆかりのある幸村の魅力も知っていただければと思う。 (昌)