美浜町で作られる農作物の新ブランド、 松キュウリや松トマトの栽培に使用される松葉堆肥の改良実験がスタートした。 松葉ともみがらで作られた従来の松葉堆肥に、 使用済みのシメジ栽培用の菌床を配合。来年夏ごろには堆肥としての試験使用が始まる見通しで、 オガクズなどが原料の菌床は微生物が多く含まれ、 うまくいけば土壌の改良、 作物の品質アップも期待できるという。
 松葉堆肥は、 煙樹ケ浜の松林に堆積する松葉をかき集め、 6年前から製造がスタート。 松にとって、 松葉がなく養分の少ないやせた土は好環境となるが、 煙樹ケ浜は松葉の堆積が松を弱らせている一因にもなっており、 もみがらと混ぜ合わせて堆肥にすることで、 循環型の環境保全と農作物の新ブランド開発につながると期待されている。 松葉堆肥で作る松キュウリは現在、 5軒の農家が生産、 出荷しており、 松トマト、 松イチゴも1軒ずつ栽培。 どれも少しずつ生産量が増えつつある。
 廃菌床には、 土をやわらかくして農作物の根を強く張らせる炭素が多く含まれるといわれ、 全国的にシイタケ生産業者などが製品化に乗り出している。 美浜町では、 煙樹ケ浜松葉堆肥ブランド研究会の松葉堆肥部会のメンバーが中心となって松葉堆肥を使った農業を推進しており、 26日には部会のメンバー15人が役場前の松葉堆肥集積場に印南町のシイタケ生産・販売企業、 ㈱石橋 (石橋幸四郎代表) で分けてもらった廃菌床数㌧を持ち込み、 工事用重機やトラクターを使って混ぜ合わせた。
 吉原で松キュウリを作って5年目になる部会長の龍神茂さん (37) は、 「松葉堆肥は他の市販の堆肥より微生物が多く、 ミミズも多い。 私の場合は土壌が砂地ですので、 保水力を高めるためにも、 この菌床を混ぜた松葉堆肥に期待しています」。 他の生産者も 「こらええわ」 「病気に強い作物ができる」 などと話している。