過疎化が進み、 空き家や耕作放棄地が増加している美浜町の三尾地区で、 県外から移り住んできた家族が購入した古民家を改造、 雑貨とカフェの店を開く準備を進めている。 夫婦と幼い子どもが2人の4人暮らし。 以前はメキシコで暮らした経験もあり、 三尾では畑を借りて野菜も作りながら、 「ここは自然がいっぱい。 将来は多くの人に来てもらえるよう、 新たなコミュニティーづくりにも貢献できれば」 と夢を描いている。
 雑貨とカフェの店を準備しているのは、 大阪市出身で元教諭の片桐秀典さん (34)。 大学を出て2年間、 小学校と中学校で数学や英語を教えたあと、 24歳からメキシコ南部のサンクリストバル・デ・ラスカサスという街で暮らし、 26歳で帰国。 27歳から大阪で雑貨屋を経営、 30歳からは妻華奈さん (33) ら家族でメキシコに渡り、 昨年8月、 三尾に引っ越してきた。
 海外生活であらためて日本の自然の素晴らしさを認識、 帰国後は華奈さんの故郷和歌山で雑貨屋を経営しながら暮らすことに決めた。 ▽海が近い▽近くにそこそこ大きな街がある▽田畑があるなどを条件に、 和歌山市から南へ、 海辺のまちを歩いて適当な古家がないか探した。 そのなかで、 三尾の小薮清信区長と知り合い、 小薮区長の紹介で三尾駐在所北側の垣内地内に木造平屋 (一部2階建て) の古民家にたどりついた。
 店の名前は 「道草屋」。 現在、 秀典さんがほぼ自分一人でコツコツと改修工事を進めており、 夏前にはオープンの予定。 家の近くに借りた畑ではニンニク、 ジャガイモ、 エンドウなどの野菜を作り、 店では衣類や雑貨、 ベビー服、 アクセサリーのほか、 メキシコで買い付けた刺しゅうの民芸品なども販売する。 秀典さんは 「将来は自分で作る野菜や米のほか、 すべて地元でとれる素材を使った料理を提供するのが理想。 店以外でも一坪貸し農園、 共同農作業を軸にした地域通貨の発行などいろんなことがアイデアとしてあります。 この自然がいっぱいの三尾に、 もっともっと多くの人が訪れるよう、 地域の皆さんとともに頑張っていきたいです」 と話している。