市内塩屋町の県農業大学校就農支援センター (森下正彦所長) は本年度、 新規就農や農業法人等への就職を目指す離転職者を対象に、 初の公共職業訓練としての農業研修を実施。 31日、 第1期研修生の修了式が行われ、 UターンやIターンで県内に移住した男女8人が農業者としての第一歩を踏み出すに当たり、 それぞれの営農計画、 人生設計を発表した。
 公共職業訓練コースは、 農地も設備もない農業の素人をプロに養成することを目的に、 厚生労働省の補助事業として新設され、 29歳から51歳までの男性7人、 女性1人が受講。 昨年6月から8カ月にわたり、 野菜や花き、 果樹の栽培実習と講義のほか、 農家等に出向いて農業の現場を学ぶ農家研修で実践的な訓練を積み、 夏には県が購入したパイプハウス5棟の建設も自分たちで行った。
 修了生8人はUターンが2人、 Iターンが6人で、 日高地方は御坊市、 日高川町、 印南町に各1人ずつがIターンで移住。 神奈川県横須賀市から日高川町皆瀬へ移り住んだ元会社員の木島賢一さん (43) は、 妻の実家が同町で、 和歌山へのIターン就農を前提に県庁に研修先を問い合わせたところ、 公共職業訓練コースが始まることを知り、 受講することを決めた。
 修了式のあと、 他の修了生やセンター職員を前に、 イチゴ農家として過疎地域の産業やコミュニティーの活性化に貢献できる農業経営計画を発表。 「すでに農地を確保し、 育苗も始まり、 1年目は 『赤字を出さない』 ことを所得目標としました。 現在、 家族は妻と子どもが1人ですが、 将来はもう1人ぐらい子どもをつくり、 以前の営業の仕事で培ったノウハウと人脈も生かし、 周りの人たちの販路開拓のお手伝いなど、 小規模ながらも生産だけでなく幅広く展開していきたい」 などと、 夢広がる未来予想図を発表した。