県立医科大学 (和歌山市・板倉徹学長) は9日、 ことしの新たな取り組みとして、 地方医療機関への医師の配置に関する外部の有識者も含めた検討委員会を設置することを発表した。
 地方の公立・私立の医療機関からの同大学への医師派遣要請に対し、 決定までの透明性を高め、 客観性を確保することが目的。 医師の派遣要請はこれまで、 関係診療科を持つそれぞれの講座の教授が対応していたが、 今後は大学として一元的に学長が唯一の要請受付窓口となり、 諮問機関の 「地域医療機関医師適正配置検討委員会」 による検討結果の答申を受け、 該当講座の教授との調整を経て決定する。
 同大学では昨年、 医局が医師派遣先の病院から研究費を受け取ったりするなど、 医師派遣に関して地方医療機関との不明朗な関係が明るみとなった経緯がある。 全国的にもまだこうした教授への直接要請が多いなか、 和歌山県立医大は全国80の医科大学のうち、 18番目で検討委員会システムを導入する。
 検討委員会は地域・国際貢献推進本部長を長とし、 付属病院長、 医学部教授 (4人) らのほか、 外部委員として3人の一般有識者も含め11人で構成。 板倉学長は 「昨年の医局と病院の関係の問題を受けての対応という面もあるが、 本学は日夜、 県の地域医療の支援のあり方について議論を重ねてきた。 この制度の導入により、 地域のさまざまなニーズを総合的に検討、 判断することができ、 患者の視点という意味で一般県民、 行政関係者も委員とすることで客観性を確保し、 検討内容を公表することで透明性を高めることができる」 と話している。