国が定年退職の年齢を60歳から65歳まで引き上げるよう検討している。いまこれぐらいの歳の人は、ちょうど戦後の激動の時代をたくましく過ごしてきたためだろうか、とても元気でパワフルな人が多いように思える。だから培ってきた知識や経験を引き続き生かしてもらうという点では、定年の引き上げはいいのだろう。しかし、公務員に当てはめると、すでに言われている通りいろいろ問題もあるようだ。
 去る9日の市議会決算委員会では、平成23年度決算審査に関連して委員から「定年が引き上げられた場合、市役所の対応はどうするのか」と質問があり、執行部側は「国の方針がはっきりしないので何ともいえないが、60歳でとりあえず退職してもらい、給料を下げて再雇用する形になるのではないか」と答弁していた。
 定年延長ではなく、再雇用で給料を下げて人件費を抑制するということだが、いってみれば定年後もちょっとしたアルバイト先が最初から確保されているのと同じ。民間企業だと定年前にリストラされ、それでも生活のため収入が必要でいままで経験したことのないアルバイトをするなどよく聞く話。公務員は安定した給料が定年までもらえているわけだが、再雇用で年金が受け取れる歳になるまで雇ってもらえるなら、「一層結構なもの」である。また、委員からは「市役所といえば大きな雇用の場。年上の人に居座られると、若者が入ってこれない」などと指摘があり、確かにそれも一理ある。
 市は国の制度に準拠せざるを得ない面もあるが、独自に再雇用の是非を一度検討してもらいたい。 もし、 どうしてもその人の能力が欠かせないといっても、別に公務員の地位である必要はないのだから。      (吉)