2022年11月の知事選に向けて、当初自民党県連は総務省官僚の新人を推薦。しかし、県町村会が反発して、岸本周平氏を推薦、これを受けて自民県連も新人擁立を断念し、岸本氏に推薦を出したことはまだ記憶に新しい。結果的には県町村会が岸本氏の当選を誘導した形だ。

 そんな県町村会が今度は次期衆院選和歌山新2区の候補者選びに先手を打った。去る23日、不出馬表明している二階俊博衆議院議員の三男で秘書の伸康氏に出馬を要請。伸康氏は立候補を明言していないが、かねて郷土発展への強い思いがあり、幹事長時代の俊博氏の秘書として東京でも経験を積んでいる。すでに各種団体から伸康氏に出馬要請も出されており、俊博氏の後継者問題の流れは決まったと言える。

 次の衆院選和歌山は現行の3区から2区に減り、新1区は和歌山、岩出、紀の川の3市、新2区は御坊や海南など6市と21町村で構成。つまり県町村会という名称だが、実態は新2区の町村長で構成しており、推薦を受けることができれば広い2区で戦う候補者にとっては大きな後ろ盾となる。もちろん、首長の中にはそれぞれの思いもあるが、最終的に県町村会臨時理事会で伸康氏の出馬要請を決め、21町村の全会一致であると強調した。

 一方、衆院へのくら替えに意欲がある世耕弘成氏はどう動くのか。政治資金問題で自民党を離党した中、党の推薦や町村長の支援はなく、新2区に立候補するなら茨の道を進むことになる。いずれにしても、伸康氏には県民、国民はもちろん、郷土発展に尽力した父の思い、そして同じ秘書の兄の思いも胸に刻み、誤りなき選択を期待したい。(吉)