本紙宛に送付されてきた果物の本をご紹介します。記事でも紹介しましたが、昨年11月に出たばかり。フルーツ王国和歌山県のフルーツ関係者のみならず、一般の方にもぜひ一読をお勧めしたい良書。使える知識満載です。

 内容 我が国は四季ごとの自然の恵みとして、実に豊富な果物を楽しめる国。にもかかわらず国民一人当たりの果物摂取量は海外諸国と比較して圧倒的な少なさで、毎日果物を食べる人は4人に1人という現状。

 2人の著者は果樹研究に携わってきた者の使命として、「果物が生活習慣病を防ぎ、健康寿命を延ばすことを多くの人に知って頂きたい」と本書の執筆を決めたそうです。

 取り上げられている果物は、ミカン、リンゴ、モモ、ウメなど25項目ですが、それぞれの来歴や文化的逸話、栽培エピソード、健康効果など情報量がすごい。和歌山県の主な産物に限っても、「温州ミカンは海外でも人気で、ナイフがなくてもテレビを見ながらむいて食べられるのでカナダでは『テレビオレンジ』と呼ばれている」「缶詰が生まれたのは1802年だが、世界で初めて果物の缶詰が作られたのは1872年、日本のミカンの缶詰だった」とか、どうということはないけど楽しい豆知識が続々。ウメでは「梅の枝は硬く弾力があるので杖に使われ、新築の家の中を梅の杖でたたくと魔除けになる」「『梅は三毒(食べ物の毒・血液の毒・水の毒)を払う』ということわざがある」など、PRに使えると思われる知識も紹介されています。

 それよりも各項目の栄養成分の紹介は実に詳細で、きちんと調べてそれぞれの体調に呼応した果物を十分な量だけ食べれば、本当に病気知らずになれるのではと思うほど。私は元々果物が大好きなので、読み込んで活用したいです。

 2009年以来フルーツ中心の食生活を続けているというフルーツ研究家の中野瑞樹さんも和歌山県出身ですね。(里)