日本の人口減少が止まらない。2008年の1億2808万人をピークに減り続け、先日公表された国立社会保障・人口問題研究所の推計では、46年後の70年には約7割の8700万人、76年後の2100年には約6300万人と半減するという。

 3年前の少子化社会に関する国際意識調査の結果をみると、自分の国が子どもを産み育てやすい国だと思うかとの質問に対し、「YES」と答えた日本人は38%にとどまり、フランス(82%)やドイツ(77%)より大きく下回っている。

 賃金が上がらない悪いインフレが続き、能登半島のような自然災害も明日は我が身、さらに周辺の核兵器国の脅威が高まるなか、結婚して子どもをつくろうという気になれないのも致し方ないのかも。

 一方で、訪日外国人観光客は回復、日本の自然や文化、和食を楽しみたい外国の人は増え続け、海外からの移住も増えている。このあたり、当の日本人の感覚とは反対なのだろう。

 個人的には、日本の生活環境、政治と経済は他国に比して悪いと思わない。医療や福祉、教育も完全無償とまではいかないが、経済悪化で人手が足りず、公共サービスが機能しない諸外国の実態を聞くと、日本の方がはるかにマシだと感じる。

 ではなぜ、日本は人口が減り続けるのか。社会保障以外に、もっとほかに要因があるのでは。外国人の友人にそんな話をすると、ずばり「日本人は働き過ぎで幸福度が低いからだ」といわれた。家族で余暇を過ごす時間が足りていないという。

 医療費が無償のカナダの場合、国民の権利が平等に補償されてはいても、知識と収入など個人の力がなければそれを行使できない。一見、公平で住みよい国ほど社会は厳しい。  (静)