奨学生らに話をする齊藤氏

 公益財団法人日高奨学会(山下真玄代表理事)は3日、日高川町のレストランあんちんで奨学生の報告会を開き、9人の奨学生と元奨学生でつくる春友会の会員、奨学会の役員ら約40人が参加。原子力の専門家として国際的に活躍している齊藤正樹氏(75)=横浜市=が、「人を残す」をテーマに講演した。

 齊藤氏は御坊市名田町上野出身で、大阪大学大学院工学研究科で原子力工学専攻博士の学位を取得。米国のパデュー大学原子力工学科、動力炉・核燃料開発事業団を経て東京工業大教授となり、14年、東工大名誉教授に就任した。内閣官房参与として福島第一原発事故対応に当たり、昨年11月のIAEA(国際原子力機関)技術会議で議長を務めた。

 講演では「教育は学生が主役で、大学は学生の動機付けと後押しをすることが役割」とし、学生たちは互いに励まし合って勉学に励み、課題を見つけて解決する力をつけなければならないと主張。奨学生に対し、基本を身につけ、既存の型を打ち破り、独創的なスタイルを確立する「守破離」で発展できるよう、自ら道を見つけて歩み出そうと呼びかけた。

 日高奨学会は1960年、美浜町の故田端春三氏の私財を基に設立され、以来、60年以上にわたって日高地方、有田地方出身の大学生らを支援。21年度からは一般からも資金協力の寄付を募り、今回の講演会は一般も参加できる事業として初めて行われた。