御坊市は1954年4月、旧1町5村の合併で誕生して以来、来年で70周年の節目を迎える。そんなまちの発展の拠点となってきた現庁舎は73年に竣工して50年。実は筆者もつい先日50歳になったばかりで、同じ年。子どもの頃、美浜町の祖父母の家に連れていってもらう時など車の中から見上げる庁舎はそびえたつような大きな建物に見え、すごく都会的なイメージを感じたのを覚えている。

 記者になってからは以前、御坊市担当を11年間させてもらったことがあり、ある意味現庁舎にはお世話になっている。当時は柏木征夫さんが市長。媚びない、ブレない政治姿勢でありながらも気さくな性格で、自慢の手料理を振る舞っていただいたのが懐かしい。先日、ちょっとした用事で電話する機会があり、元気そうだったので何より。議会では故上田季児さんが議長を務めていたが、地方の議員であれほどの迫力とカリスマ性を持ち合わせている人はそうそういないだろう。ちょうど使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致話が大きな議論になっていた。

 今年夏から約8年ぶりに再び御坊市を担当、何かしらの縁を感じる。新庁舎は先月竣工し、今月4日から一部の課が業務スタート。来年1月4日から全面開庁となり、旧庁舎は来年度中に解体されることになる。建物はなくなっても、庁舎に訪れた人々のまちへの思いやそこで働いてきた職員の営みは消えることなく、新庁舎に引き継がれる。市では現庁舎に感謝を込めて「ありがとうWEEK」のイベントを19日から28日まで企画。現在、旧庁舎への感謝のコメントを募っており、この機会に思いをつづってみてはどうだろう。 (吉)