最近、日高高校科学部がさまざまな大会で成果を出しており、よく取材に行くようになったが、その度にレベルの高い研究に驚かされる。第67回日本学生科学賞(読売新聞社主催、旭化成協賛)の県審査で県知事賞を受賞した研究は「Oohoオーホ!の強度に関する研究」、県高校総合文化祭の化学部門優秀賞の研究は「寒天プラスチックの実用化に向けて」というものだ。

 オーホも寒天プラスチックも初めて聞いたという人も多いだろうが、オーホは海藻などの天然成分由来の食用膜で「水カプセル」などと呼ばれ、ペットボトルやカップの代替品として期待されている。寒天プラスチックはその名の通り、寒天で作ったプラスチックでマイクロプラスチックなどの環境汚染が問題となる中、自然成分のみで作った環境に優しいプラスチックとして注目されている。

 いずれも一般に普及しておらず、まだまだ課題が多い素材だが、高校生の研究ではそれらの課題の中から強度に着目し取り組んだ。原材料の割合を変えたり、添加物を加えたりするなど、複数のパターンを用意し順番に強度を図っていき最適解を探す。さらにその強度を調べるための装置は自作している。電子回路が使えるレゴブロックがあり、それで力を加える装置を作り、料理で使うはかりなども組み合わせて計測器とするのだ。

 また実験では常に同じ状況で計測できるようさまざまな要素を取り入れている。もちろん実験は簡単にはいかないようで、寒天プラスチックの取材では失敗したたくさんのプラスチックがあり、試行錯誤したあとが見られた。彼らが取り組むテーマは地球の環境問題解決の可能性を秘めており、今後もさまざまな研究で活躍することを期待したい。(城)