お勧め本のプレゼン合戦「ビブリオバトル」。先日開かれた御坊大会を取材。中高生4人が出場した◆中学生部門は「ルビンの壺が割れた」(宿野かほる著)と「サバイバル謎解きBOOK 恐竜島から脱出せよ!」(小林快次著)、高校生部門は「20歳のソウル」(中井由梨子著)と「きのうの影踏み」(辻村深月著)。4冊ともまだ読んでいない本だったので、興味深く聞いた◆順に個人的な感想を述べると、「ルビン」は謎の真相が知りたい、という人の本能ともいうべき好奇心をくすぐられる巧みな発表で、すぐにでも購入して読みたいと思うほどだった。「サバイバル」は以前、発表者による恐竜の講演会を取材したおかげで恐竜に関心を持ったので、ゲーム感覚で楽しみながら知識を深められるこの本はぜひ読んでみたいと思った。「20歳のソウル」は実話に基づく深い内容とともに、発表者自身の熱い感動がダイレクトに伝わる発表だった。発表者の冒頭での予告通り、作中に登場する曲「市船ソウル」がぜひ聞きたくなり、取材後に早速検索して視聴。さらに読みたくなった。「きのうの影踏み」はホラーとのこと。筆者は岡本綺堂など昔ながらの情緒的な怪談が好きで、昨今のホラーはちょっと苦手なのだが、発表者の説明をきくと筆者の好みに近いように思えて、とても読みたくなった。本好きとしては、大変ありがたい取材であった◆総務省の調査で、読書を趣味とする人の割合が最も低いのが和歌山県であるという結果が出ていた。目で文字を追っていくだけでいつのまにか違う世界に飛べる、不思議で素晴らしい体験ができるのに、それを実感する人が少ないのはとても残念。それを共有できるビブリオバトルの出場者も、増えてくれればうれしいのだが。(里)