切目王子が登場する石見神楽 「切目」 の奉納舞

 印南町で11・12日、切目王子跡の国史跡指定記念イベント(同実行委員会主催)が開催された。11日は印南漁港でステージや餅まき、約3000発の花火大会。12日は切目王子神社で同王子ゆかりの島根県の石見神楽、愛知県の花祭の奉納演舞が行われ、両日とも多くの人が訪れにぎわいを見せた。

 切目王子跡は、熊野古道九十九王子の中でも格式ある五体王子の一つ。熊野詣が盛んに行われていた11世紀から13世紀にかけては中継遙拝所として、天皇や上皇など多くの要人が訪れた。イベントは昨年11月に国の史跡に指定されたことを受け、約半年がかりで準備を進めてきた。

 11日は3年ぶりの開催となった印南かえるのフェスティバル(町活性化イベント実行委員会主催)との同時開催。昼間は印南を拠点に活動するさくらサーカスのミニショー、石見神楽公演のステージのほか、餅まきや地元特産品の販売、体験ブースも大盛況だった。

 午後7時からは、この場所で6年ぶりとなる花火大会。約40分にわたって漁港の秋の夜空に色とりどりの花火が打ち上げられ、約1万2000人の見物客を魅了した。

 12日は切目王子神社で式典があり、入口に設置した国史跡指定記念碑の除幕式には、日裏勝己町長や前山栄藏総代長、平野球士宮司ら関係者が出席。その後は境内で祝いの舞として、演目に切目王子が登場する愛知県東栄町の花祭、島根県の石見神楽が奉納され、県内外から約350人の見物客が訪れた。

 花祭は熊野信仰が奥三河の人々に影響をもたらした神事といわれ、鬼が神様として登場。赤い装束の鬼が力強く舞った。石見神楽は切目王子が登場する「鞨鼓(かっこ)」「切目」という能舞が演目にある。高津社中(益田市)と西村社中(浜田市)が奉納を行い、熊野権現の宝物と呼ばれる太鼓を題材にしたコミカルな舞の鞨鼓、切目王子が太鼓を打ち鳴らしながら厳格に舞う切目を披露。見物客からも手拍子が沸き起こり、境内は祝祭ムード一色に包まれていた。