東京大学大学院2年生で、今年4月から美浜町三尾に移住した岩永淳志さん(24)が住む築150年の古民家で、DIY体験会が開かれた。プロの大工を招いた本格的な体験会で、「大工仕事を学びたいが、そんな体験ができる場所も機会もない」との若者の声を受けて岩永さんが初めて企画した。しかも実際の古民家の縁側や土壁などの修復を実践するという滅多にない機会で、東京や福島などの大学生男女5人が集まった。長年記者をしているが、このような形の体験会は初めてで、非常にいい機会だと感心した。

 集まった大学生に話を聞かせてもらった。将来は空き家専門の建築士を目指しているという男子学生は、将来は出身の福島県に戻って地域に住み、空き家の再生などを通じたまちづくりをしたいという目標を持っていた。和歌山大学観光学部の女子学生は、地域再生のための空き家問題を勉強しており、Iターン者の移住などに興味を持って勉強しに来ていた。目的や思いはそれぞれでも、5人とも三尾に数日間住み込み、美しい景色に魅了されていたのが印象的だった。

 今回は5人だが、次の機会にはそれぞれが友達を連れてきたり、体験会以外でも三尾に遊びに来たりとつながりは広まっていくだろう。そうやって関係する人が増えていくことが地域の活性化につながる第一歩。岩永さんも、DIYの技術と知識を深めるだけでなく、人が人を呼び交流を増やしていきたいと話していた。DIYに限らず例えば料理だったり、いろんな分野のプロの技術を学べる機会を作るのもいいかもしれない。若者の発想や行動力がまちを変える力となる。(片)