「謙虚さを忘れずに」と高嶋名誉監督

 智弁和歌山高校野球部名誉監督の高嶋仁さん(77)が8日、御坊商工会館で講演し、「教えつつ教えられ」をテーマに、弱小チームを日本一にするための必勝法や和歌山大会での裏話を語った。

 経営者の学びの会「和歌山紀央倫理法人会」が主催したナイトセミナーでの講演。高嶋さんは日本体育大学卒業後、智弁学園高校(奈良)を経て1980年に智弁和歌山高校へ野球部監督として転任、94年に春の甲子園で優勝。97年と2000年夏の甲子園でも優勝し、18年夏の甲子園まで監督を務めた。

 監督就任当初は部員が少なく、練習不足のチーム状態だったが、「目標は甲子園、目的は社会に出て堂々と生きられる人間の育成」を掲げ、選手の技術力、精神力、体力の3つ、中でもまず体力を強化することに重点。腹筋、背筋2000回など、日本一と言われる練習量の過酷さに選手から「監督を殺したろか」という声が聞こえてくるほどだったが、監督の信頼に応えて選手も耐え抜き、3カ月もすれば練習メニューをこなすようになり、それが大きな精神鍛錬や自信につながったと説明した。

 和歌山大会ではエースを温存し、「決勝まで行けば負けない戦い方」を進め、決勝に23回進出し、22回優勝。甲子園については「実力、運、勢いが必要。選手は5の力しかなくても、結果として10の力を出せるようになる」。今年の夏の甲子園で107年ぶりの優勝を果たした慶應には「ルールは大事だが、確かにあの応援で勢いがついた。清原勝児選手が代打で登場した時は観客のムードがぐーっと盛り上がった。PLの清原(父の和博)が甲子園でまだ生きていると感じた」。

 最後に「監督がうまく誘導してやれば選手は力を発揮してくれる。上に立つ人間は謙虚さを忘れてはいけない」と締めくくった。