作品を持って来町した西山さん

 旧川上村(現日高川町)上初湯川妹尾出身の西山寛躬(よしみ)さん(90)=和歌山市小倉=が、寒川地区の移り変わりが分かる大きな年表を作り、町に寄贈した。

 西山さんは1953年(昭和28)の7・18水害で自宅が被災するまでの20年間、妹尾で暮らし、和歌山市に移ってからもバスやタクシーの運転手の仕事をしながら、村の様子を写真に収めたり、村に関する書の作品づくりをするなどふるさとに強い思い入れを持ち続けている。

 今回は「偲ぶ美山路ふる里」と題し、美山村史に書かれている西暦781年から1965年までの寒川地区の歴史を記した。作品は縦50㌢、横150㌢の大きさで、村の開拓から、源氏や平家の落人が住み始めたこと、日清・日露戦争への村民の従軍、南海バスの御坊寒川線運転開始、7・18水害の被害などの出来事が約100行にわたり細かな文字で書かれている。

 西山さんは「語り継がねば忘れ去られてしまいそうなふるさとの歴史を、少しでも目にして興味を持ってもらえれば」と話していた。このほか、妹尾の国有林から木材を乗せて走る貴重な森林鉄道(トロッコ)の写真も寄贈した。

 町で「展示場所などを今後検討していきたい」と話している。