翠香の梅シロップを手に有本さん

 2023年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の受賞者が決まり、日高地方から梅の新品種「翠香(すいこう)」の香りを生かしたシロップを初めて開発、商品化したみなべ町東岩代、有本農園の有本陽平代表(37)が創意工夫功労者賞を受賞した。年間3000本を製造・販売し、国内外での翠香の知名度アップに貢献。表彰伝達式は25日午前11時から県庁で行われる。

 有本さんは実家の梅栽培を継ごうと高校を卒業後、茨城県の果樹研究所で2年間かけて勉強。この研究所で、当時育苗中だった翠香と初めて出会った。帰郷後は就農する傍ら、東本庄の県うめ研究所で研修を続け、4年半にわたり梅栽培を探究。この間、うめ研究所では翠香の品種登録に向けた研究が行われており、有本さん自身と縁を感じる翠香を「いつか全国、そして世界に広めたい」と考えていた。

 翠香は2011年に新たに品種登録が完了。有本さんはすぐに苗を取り寄せて面積約10㌃で栽培を開始。13年からは梅酒製造も始めたが、翠香を使った梅酒では独特の香りを生かすのが難しく、梅シロップの開発に挑戦。実を完熟させて香りを引き立たせ、翠香とグラニュー糖だけで雑味のない仕上がりになるよう試行錯誤。特長である洋梨のようなフルーティーな甘い香りが際立つシロップが完成した。1本150㍉㍑入り、1200円(税込み)。国内外の品評会で高い評価を受けており、現在、日本ほかタイ、フランス、台湾など10カ国で販売されている。

 受賞には「大変ありがたい賞をいただきました。翠香をもっと世に広めたいと思います。近年、ブドウではシャインマスカットが人気ですが、翠香が梅の品種の中でそれぐらいの知名度になってくれれば。今後、新たな商品展開も考えています」と張り切っている。

 今年度の科学技術分野の文科大臣表彰は県内で科学技術賞(技術部門)1人、創意工夫功労者賞2人の計3人が受賞した。

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