トルコ・シリア地震から2週間が経過した。報道によると、死者数は4万6000人を超え、最終的には5万人を超える見通しもあるという。死者1万5900人、行方不明2523人となった2011年の東日本大震災と比べ、2倍以上の犠牲者が出たことになる。家屋の倒壊で下敷きになった人のほか、支援物資の遅れや重傷者に対する医療が十分でないことなども要因という。

 日本とトルコ共和国との関係は深く、トルコは以前から親日国として知られている。きっかけは1890年のエルトゥールル号事件。オスマン帝国(現在のトルコ)から日本に派遣された軍艦が串本町の沖合で岩礁に乗り上げて沈没。地元の住民が協力し、乗組員の捜索、救助、介抱を行った。この出来事はトルコの教科書にも掲載された。

 逆に日本もトルコから恩を受けている。イラン・イラク戦争時の1985年、イラクが「イラク上空を飛ぶ飛行機を48時間後に無差別に撃ち落とす」と宣言。タイムリミットが1時間と迫る中、トルコがイラクに航空機を送り、取り残されて帰国できなくなった日本人215人全員を救出した。その理由について当時の駐日大使は、「エルトゥールル号の借りを返しただけ」と答えた。東日本大震災時にも手厚い支援が届けられ、まさに壮大なギブアンドテイクといえるだろう。

 そのトルコが今、窮地に立たされている。今後は日本が借りを返す番。一人ひとりができる範囲で義援金などに協力することで大きな力となる。そして、いつまでも今回の大地震や過去の両国の絆について、関心を持ち続けることが未来へとつながる友好関係を築く。(雄)