政府が健康保険証を廃止し、2024年秋からマイナンバーカードに一本化する方針としていることに関し、全国的に不安の声が上がっている。日高地方の自治体からは、「病気などでカード申請が難しい人にどう対応するのか」など疑問視する声も。医療費削減につなげることなどが狙いだが、カードを持っていない人への対応などの課題は多い。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認システムは21年10月から運用。メリットとしては▽特定健診情報が医療機関で共有でき、より良い医療が可能▽オンラインで医療費控除が簡単にできる――などが挙げられている。患者の同意を得れば本人の医療情報が医療機関で共有できるため、同じ効果の薬を複数病院から出されることなどがなくなり、医療費の減少にもつながるという。

 一方、自治体の担当者は「病気で寝たきり状態の人はマイナンバーカードを申請するのは難しいし、個人情報の漏洩などを心配して申請しない人もいる。そういう人たちにどう対応するのか」「現状のマイナンバーカードの交付率は50%を超えた程度。一本化される2年後までに普及率を100%近くまでに上げるのは難しいのではないか」などと不安視し、「保険料を支払っていながら保険診療を受けられず、全額自己負担という状況にはならないか」と懸念する声が聞かれている。住民からは「カード取得は任意のはずだったが、事実上は義務化されることになる。セキュリティにも不安がある」という声も。

 政府は来年3月末までにほぼすべての国民に行き渡ることを目標としているが、11月末時点の交付率は53・9%。日高地方の自治体をみると、由良町が60・1%、御坊市が58・6%、印南町が57・0%、日高川町が54・5%、美浜町が49・8%、みなべ町が47・5%、日高町が47・1%となっている。