先日、赤字が続いているJRきのくに線白浜―新宮駅間の活性化策について、県や沿線自治体の関係者が協議する会合のニュースを見た。この区間はJR西日本が今年4月、2020年度まで過去3年間の平均収支が29億3000万円の赤字だったと発表。経営が厳しい中での路線のあり方について、自治体と議論する意向を明らかにしていた。

 一方、持続可能な交通ネットワークの形成を目指し、和歌山市は今月1日から来年2月末まで4カ月間、公共交通が不便な市内7地区で商業施設や病院を経由して既存の鉄道駅に接続する「地域バス」を試験運行。運行結果を検証し、来年度以降の本格的な運行につなげるという。人口減少や少子高齢化が進む中、日高地方に住む私たちにとっても、いずれも無関心ではいられない話だろう。

 地域の路線バスを利用する機運を高めてもらおうと、日高町が先月、比井地区の住民を対象に公共交通を考えるワークショップを開き、取材した。その中で町職員は「バスに乗る人が減っていて、このままではバスがなくなってしまう。バスがなくなると車を運転しないお年寄り、子ども、体の不自由な人らが移動できない。だからたくさん乗って残していきましょう」。参加者からも「これから車に乗れない人も増えてくる。なくなったら生活が大変なことになる。路線の維持・存続へ真剣に考えないといけないですね」という声が聞かれた。

 もし車を運転できなくなったら、重要な移動手段となる公共交通。いま利用しているお年寄りや子どもたち、そして将来、次の世代のために、維持・確保を考えなければならない。まずは地域で公共交通について関心を持とう。(笑)