文化功労賞の受賞が決まった宮西さん

 文化の向上発展に功績のある人をたたえる県の文化表彰受賞者が発表され、日高地方からは文化とこころの病をテーマに活動する精神科医でNPO法人ヴィダ・リブレ理事長の宮西照夫氏(73)=美浜町和田=が文化功労賞に選ばれた。マヤ文明に興味を持ち、半世紀にわたる研究成果を日本に紹介したほか、ひきこもり回復支援プログラムを開発して若者の仲間づくり支援を行っていることが評価された。

 生まれも育ちも美浜町。1973年に県立医大医学部を卒業し、精神科医として勤務し、2012年から現在も名誉教授。

 大学在学中に読んだ1冊の本をきっかけにマヤ文明に興味を持ち、71年に初めてメキシコに渡り、南部国境地帯のジャングルでマヤの末裔ラカンドン族と初対面。以来、何度も訪問し、長い時は半年間、一緒に生活した。これまでメキシコとグアテマラに48回渡り、マヤ人の宗教や治療儀式、洞窟壁画など研究が十分でなかったマヤ文明を書籍等を通じて日本に紹介してきた。マヤ人の高度な精神疾患治療技術にもひかれ、文化とこころの病をテーマに文化結合症候群、統合失調症、内戦被害者のPTSD等の研究に没頭。多文化間精神医学会学会賞を受賞したほか、グアテマラ国立サンカルロス大学から名誉称号も授与されている。

 日本では80年代からひきこもりにいち早く着目し、ひきこもり回復支援プログラムを開発。美浜にひきこもりの若者の居場所を作り、有志メンバーでNPO法人ヴィダ・リブレを創設。仲間づくりなど社会復帰へ向けた支援を続けている。

 宮西氏は「マヤ文明に興味を持って、48回の現地訪問調査で研究を続けてきました。国内では引きこもりの研究と支援活動を42年間続けてきましたが、素晴らしい仲間との出会いが私を支えてくれました」と多くの関係者に感謝。「マヤ文明の研究がきっかけで、和歌山大学がサンカルロス大学、サラゴッサ大学の2校と姉妹校の協定を結ぶことができ、学生同士の交流が進んでいる。若い人が互いに文化に接してくれていることが一番うれしい」と話した。

 表彰式は10日午後2時から県庁本館で行われる。

 精神保健福祉表彰も受賞 宮西氏は、県精神保健福祉協会の本年度会長表彰の特別功労表彰の受賞も決まった。19日に開かれるこころのフェスタで表彰される。