低迷する景気の浮揚へどれほどの規模感を示せるか。注目される政府の総合経済対策について先週末、国費で20兆円強を投入する方向で調整に入ったとの情報が流れた。

 世耕弘成参議院幹事長はその数日前、先の代表質問と同様、「真水で30兆円が発射台となる」との考えを繰り返してけん制したが、漏れ聞こえきた額はその3分の2で、緊縮財政派といわれる岸田首相としては精いっぱいか。

 近年、安全保障の軸足をインド・太平洋に置き換え、次世代戦闘機などの共同開発で急速に日本との連携を深めている英国で、トラス首相が満を持して打ち出した看板政策の大型減税が大炎上。就任からわずか45日で辞任に追い込まれた。

 このトラスノミクスの大失態を日本の政治家はどうとらえたか。まさか、岸田首相が明日は我が身と大慌てで経済対策予算を小さくしたわけではあるまいが、党内で50兆円規模の財政出動を求める声も強いなか、20兆円強は積極的とまではいえず、PB黒字化、財政健全化を目指す財務省にさらに接近しているとの見方も少なくない。

 円安は歯止めがかからず、ここにきて少しずつインバウンドが盛り上がりをみせつつあるが、コロナとウクライナ危機で疲弊した国内経済はまだまだ元の力を取り戻せていない。この現状はまさに、10%への消費増税をやめる条件としていたリーマンショック級、もしくはそれ以上の危機ではないか。

 日本維新の会は時限的な経済対策として、5%への消費減税を岸田首相に提言した。求められるのは金融緩和(アクセル)と同時の大規模な財政出動(アクセル)。与党も野党もマスコミも現状を直視し、政権を支え、政治と経済の基盤強化に力を合わせたい。(静)