日本ウミガメ協議会とみなべ町教育委員会は今季の千里の浜へのアカウミガメ上陸・産卵数をまとめた。

 千里の浜は西日本最大級のアカウミガメの産卵地として知られている。今季は5月22日に初上陸と産卵が確認されており、その後8月20日までの調査で延べ上陸数は105回で前年比46回増。延べ産卵数は49回で、過去2番目に少なかった前年の30回より19回増えた。上陸数に対して産卵数が伸び悩むのは、千里の浜が台風などの影響で砂が流出する〝浜やせ〟が続いており、アカウミガメが産卵するスペースが狭くなっているのが要因とみられている。

 ただ、過去約40年間の調査によると、産卵回数は約10年周期で大きく増減しており、多い時で300回前後、少ない時で30回前後となっていることから、昨年が周期の底で、やや回数が増えた今年から回復傾向にあるのではないかという期待もある。また、アカウミガメには標識を付けており、千里の浜で産卵したアカウミガメが隣の岩代の浜で産卵する様子も確認されている。

 千里の浜では今年もコロナ禍のため一般の観察を受け入れず、調査員のみが現地入りし、赤外線カメラで産卵の様子の撮影にも成功した。