土砂災害防災教育の必要を訴える井良沢さん

 県土砂災害啓発センターは23日、日高川町防災センターで小中学校教職員や市町村の防災関係職員を対象とした防災教育セミナーを開いた。

 日高地方を中心に、小中学校関係者や市町村防災、教育担当者ら48人、オンラインでも県内から14人が参加した。基調講演は「地域と共に創りあげる土砂災害防災教育~終わらない学びを展開し続ける共同体を目指して~」と題し、砂防学や森林防災工学などを研究し土砂災害の調査なども行っている岩手大学名誉教授の井良沢道也さんが講演。防災教育の意義や土砂災害防災教育の現状と課題について事例を紹介しながら説明。地震や津波と違い、タイミングなど避難が難しい土砂災害だからこそ、詳しい知識を持てる教育が必要であるとし、「全国で初めて土砂災害教育を専門にする和歌山県土砂災害啓発センターが発足し、教材の開発とともに教育のノウハウが蓄積されつつある。センターを拠点に、地域で持続する教育の仕組みづくりが必要」と訴えた。

 このほか、2011年9月の紀伊半島水害で被災し、14年から土砂災害啓発センターや地域とともに土砂災害防災教育に取り組んでいる那智勝浦町、市野々小学校の事例を同校の中西健校長が紹介。土砂災害啓発センターの筒井和男さんは、センターが実施している防災教育を説明。今年度から日高川町内全小中学校で取り組んでいるRPGなどデジタルコンテンツを活用した学習も紹介し、土砂災害に特化した防災教育の一層の普及・展開をPRした。