灯ろうを燃やして先祖を鎮魂

 由良町の臨済宗鷲峰山興国寺(山川宗玄住職)で15日夜、開山以来750年以上続く精霊送りの伝統行事、灯ろう焼きが行われた。

 火祭りとも呼ばれる盂蘭盆(うらぼん)の行事で、1960年に県指定無形民俗文化財に指定。先祖鎮魂のほか、豊作祈願や成人儀礼の意味合いがあるという。例年、火祭りでは腰巻を付けた子どもが踊る「たいまつ踊り」、重さ約150㌔もあるたいまつを担ぐ「土俑担ぎ」が行われるが、今年も新型コロナのため、おととし、昨年に続いて取り止めとなった。

 境内に檀家が持ち寄った新盆や年忌の切子灯ろうが集まり、法堂(本堂)で法要を行った後、列をつくって法堂を1周。約300㍍離れた無常堂に移動した。

 まず同寺の大灯ろうが釜場に入れられ、続いて檀家の切り子灯ろうも次々投入。炎は大きく燃え上がり、六斎念仏と尺八、鉦の音が厳かに響く中、檀家らは先祖の霊との別れとともに過ぎ行く夏を惜しんでいた。カラフルな和紙で灯ろうを手作りしていた里の40代女性は「ひいおじいちゃんの50年。思いを込めて作りました」と話し、火の中に放り込んでいた。