提供を受けた食料品を仕分け

 食料品の提供で生活困窮者を支えるNPO法人フードバンク和歌山(古賀敬教理事長)=御坊市湯川町=を利用する世帯が増えている。以前は一人親で経済的に苦しい家庭の利用が多かったが、長期化するコロナの影響で仕事をなくした家庭などが利用する傾向にあるという。一方、支援品の提供も増加しており、背景には食品ロスの削減に取り組む企業や団体の増加がある。

 フードバンク和歌山は2015年から活動を開始。企業や団体、個人から食品の提供を受け、県内全域に生活困窮家庭や福祉施設に無償で届けている。

 県内の利用世帯数については、各自治体の社会福祉協議会などを通じて配達されるため正確な数字は把握できないが、配布量は20年度の5㌧程度から約4倍の21・7㌧だった。中にはガスや電気が止められ、熱湯が必要なインスタントラーメンよりも缶詰めなどそのまま食べられる食品を望む家庭もあるという。

 日高地方でみると、社会福祉協議会などを通じて届けられているほか、御坊市にあるフードバンクの事務所でも週1回配布。フードバンクからの直接配布はコロナ前の3、4世帯から約10倍の約30世帯となった。

 一方、フードバンクへの食品の寄贈も増加。コロナ前の年間食品提供量は5㌧程度だったが、SDGs(持続可能な開発目標)の普及で2021年度は23・4㌧に増えた。食品ロスの削減に取り組む企業からの提供が多いことが要因となっている。提供品ではアルファ米、缶詰め、インスタントラーメンなどが多い。

 鈴木正文事務局長は「コロナで生活に困っている家庭が増えているが、企業や個人から食品の提供を受けてありがたい。大切に届けさせていただきます」と話している。