SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえた取り組みの一環で、環境に配慮したバイオ燃料の利用が広がろうとしている。

 フジドリームエアラインズ(鈴木与平代表)は3月、藻類のミドリムシなどを原料とするバイオジェット燃料を使用し、静岡、名古屋空港間でチャーター便を運行した。ミドリムシを使った燃料導入は、定期便をもつ航空会社として国内初という。関係者77人が約60分の空の旅を楽しんだ。

 使われたバイオジェット燃料は2005年、世界で初めて食用ミドリムシの屋外大量培養技術の確立に成功したバイオベンチャー、ユーグレナ(出雲充代表)が製造。燃料1000㍑中10%にバイオジェット燃料を使用した。光合成で二酸化炭素を吸収するミドリムシ由来の油脂や、使用済みの食用油が原料になっている。成長過程で二酸化炭素を吸収する生物資源を原料とすることで、温室効果ガス排出実質ゼロの実現に貢献すると期待される。

 調理過程で出た廃油や食材の余りをバイオ燃料に再利用する取り組みも広がっている。和食チェーンのサガミホールディングス(鎌田敏行代表)は、各店舗で天ぷらを揚げた際に出た廃油をバイオディーゼル燃料に精製し、トラックの燃料として使う取り組みを始めた。使われるのはバイオ燃料を5%混ぜた軽油で、一般的なトラックにそのまま使える。同社は年間350㌧の廃油を回収業者に出していて、配送網全体に導入された場合、月間3・8㌧の二酸化炭素削減効果が期待できるという。

 世界的な気候変動が問題になるなか、バイオ燃料は従来のエンジンを使いながら二酸化炭素排出量を削減できることから、さらなる広がりを見せそうだ。(也)