コロナ禍が長期化するなか、2021年、東京23区の転出者が転入者を上回る転出超過となった。

 総務省の同年人口移動報告を見ると、外国人を含めた数値では1万4628人の転出超過で、外国人を含めた集計を開始した14年以降、初めての転出超過となった。日本人に限っても7983人の転出超過で、こちらは96年以来25年ぶりだという。

 要因はやはりテレワークの広がりによって、郊外や近隣県への移住が広がったことによるものが大きいだろう。東京都のテレワーク実施率調査によると、21年12月の都内企業(従業員30人以上)のテレワーク実施率は56・4%と半数以上が実施している。週3日以上は45・6%、週1日は35・3%で、週5日は16・6%もある。

 さらにマンション価格高騰も原因と思われる。23区内の平均価格は8293万円(1平方㍍あたり128・2万円)で前年比7・5%アップ。首都圏全体の平均より、2000万円以上も高い。近隣県の埼玉は4801万円、千葉は4314万円となっていて、23区の突出ぶりが分かる。どう考えても、超が付くほどの富裕層しか住めないようだ。

 賃貸では、コロナ直前の20年1月の23区のファミリー向き(50~70平方㍍)物件の平均家賃は18万6944円だったが、21年12月では19万1863円と上昇している。家賃は景気動向に左右されにくいらしい。都心に住む必要のなくなった人たちにとっては、受け入れがたいものだろう。

 しかし地方にとってはチャンスである。日高地方は南紀白浜空港からアクセスも良く、実際に白浜町はIT系企業の進出が相次いでいる。ピンチをチャンスに変えることはできないだろうか。     

(也)