ロードバイクからママチャリまでどんな自転車も持ち込み可能

 JRきのくに線の新宮~紀伊田辺間で運行していた自転車をそのまま電車内に持ち込める観光サービス「サイクルトレイン2022」が1日から、紀伊田辺~御坊間まで延長された。サイクリング観光のみならず、沿線住民は遠方の買い物等にも利用できるとあり、電車利用の新たな形として期待が高まっている。

 サイクルトレインは、きのくに線の近年の利用者数減少を受け、何とか電車に乗る機会を増やしてもらおうと、JR西日本和歌山支社と県がタッグを組み、観光振興や電車の交流人口拡大を目指して運行を開始。昨年9月から11月まで新宮~紀伊田辺間で実証実験を行い、安全性等に問題がないかを確認してきた。

 従来、自転車を電車内へ持ち込む際は、折りたたんで専用の袋に入れるかタイヤを外して解体しなければならないというJRの規定があったが、サイクルトレインではどんな自転車でもそのまま電車に持ち込むことができる。追加料金不要、事前予約も不要の便利さで、運行開始から約半年で2400人以上が利用してきた。その半数以上は地元の住民で、観光のほか、買い物で使う主婦や部活動へ向かう中高生なども利用している。全国のサイクリストからも好評で、中には北海道から訪れた人もいるという。これらの状況を受け、御坊駅まで延長されることになった。

 2日には印南~御坊間の試乗が行われ、地元のサイクリスト5人が乗車。父親とサイクリングを楽しんでいるという印南町印南、和高専3年の前田晴輝君(17)は「行きは自転車で行って帰りは電車で帰れるので、行動の幅が広がっていいなと思います」と、サイクリングの新たな楽しみ方を発見した様子だった。

 JR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長は、「サイクルトレインを地元の方に定着させ、和歌山の〝当たり前〟にしていきたいです。そして、御坊日高エリアにも海岸線のきれいなサイクリングロードがあるので、この延長で多くの観光客に来てもらいたい。京阪神からも乗客を呼び込み、地元の方と一緒に地域の活性化につなげていければ」と話している。

 サイクルトレインをより快適に楽しめるよう、今後、各駅舎ではスロープの整備、サイクルラックや観光パネルの設置なども行う。利用可能時間は平日午前9時から終電まで、土日祝日は終日運行する。