広い畑で麦踏みをする子どもたち

 日高川町佐井の畑で学校給食のパンに使用する小麦が作られており、このほど麦踏み作業が行われた。子どもたちにより安全な給食を食べてもらいたいと活動する「給食スマイルプロジェクト~県産小麦そだて隊!」と、地域の農業者らが協力して取り組んでいる。


 同町での小麦栽培は昨年から始まり、農業者が休耕地や未耕作地を活用し、1年目は6000平方㍍の畑で農薬や除草剤不使用で育てた小麦を収穫。これを製粉し、地元のパン屋が給食用にパンを焼いて、町立小中学校13校に766人分が提供された。


 今季は栽培面積を9000平方㍍まで広げて11月下旬に種をまき、この日は5㌢ほどに成長した苗や霜柱で浮き上がった土を踏む「麦踏み」を行った。プロジェクトのメンバー、農業者とその子どもら10人が参加した。


 プロジェクトは、全国的な組織「新日本婦人の会」の和歌山県本部事務局長の満留澄子さんらが中心となって、残留農薬が問題視される輸入産小麦ではなく、国産小麦を使用したパンを給食に採用してもらおうと活動を開始。小麦は、9割近くを輸入に頼っている中、国産は高くて給食費では賄えない現実に直面し、「それなら自分たちで作ろう」と、農業者の協力を得ながら、1人でも多くの子どもたちに県産小麦パンを食べてもらうため活動している。県農業農村活性化モデル事業にもなっており、地産地消を進める県学校給食会とも連携し、昨年は県内86の小中学校に県産小麦パンを提供した。


 満留さんは「給食のための県産小麦栽培は価格や生産量などまだまだ課題はありますが、活動を通して、食の安心・安全への思いが高まり、協力者の輪が広がることを願っています」と話している。この取り組みについての問い合わせは同プロジェクト事務局(kyusyoku.smileproject@gmail.com)。


 県学校給食会は寄付を受け付け 子どもたちが県産食材を使った給食を食べ、食文化の学習につなげるため、地産地消を目指しているが、価格が折り合わず給食には利用されていないのが現状。県内の小中学校の給食に小麦粉を含め県産食材を導入するため、個人、団体からの寄付を受け付けている。詳しくは県学校給食会ホームページで。