北京オリンピックの熱い盛り上がりの裏で、ウクライナ情勢がきな臭くなっている。オリンピック終了とともに、平和でなくなってしまうのか。

 そもそも北京オリンピックが「平和の祭典」なのかも怪しい。新疆ウイグル自治区では、中国政府によりウイグル人に対する監視や強制収容が行われている。宗教弾圧や強制結婚、強制労働、女性の不妊化手術、親が収容された子どもへの洗脳教育、臓器売買等が行われているとされる。

 海外で暮らすウイグル人への脅迫もあり、東京大学に留学していたウイグル人女性が、父親を心配して帰国。2020年に強制収容所に入り、殺害された可能性があるという。

 300万人以上が強制収容されており、ナチスドイツによってユダヤ人800万人以上が虐殺されたホロコーストに等しいと訴える在日ウイグル人もいる。

 思い返せば20年7月1日、香港国家安全維持法が施行され、香港から自由が奪われた。昨年6月には最大の民主派新聞、アップルデイリーが廃刊に追い込まれるという、想像できないようなことが起こった。いずれも、コロナ渦のどさくさに紛れるように起きた。

 香港の次は台湾が危ない、という人もいる。台湾本土に対する大規模侵攻の可能性は低いが、離島に対する侵攻は考えられる。中国大陸と約2㌔しか離れていない金門や、数十㌔の馬祖、澎湖諸島などがある。

 平和が永久に続くことを願いたいが、仮にウクライナ情勢が極度に緊迫、もしくはロシアによる侵攻が行われた場合、まるで漁夫の利を得たかのように、中国が暴走する可能性がある。そうさせないためにも、私たちは台湾海峡情勢を注視する必要があるのではないだろうか。

(也)