入国して間もなく、労働法の講習を受ける実習生ら。現在は講習も開けない状況が続いている(人と人協同組合提供)

 新型コロナウイルスの影響で外国人の入国が制限されているなか、日本で就労技術を学ぶ外国人技能実習生の受け入れも厳しくなっている。技能実習生は日本にとって欠かせない労働力として需要が高まっているが、新規に確保できないため、国内では事業者が廃業に追い込まれる事態も生じている。日高地方ではどのような状況なのか。御坊市塩屋町で実習生の登録支援を行う「人と人協同組合」の扇田平平さんに話を聞いた。

 技能実習生とは、母国の経済発展のため日本で技能を学ぶ目的で就労している外国人。在留期間は最長5年で、帰国後、修得した技能が必要な業務に就くことを条件とするなどの制度が設けられている。一方、日本の人材不足を補う目的として、専門性の高い技能を有する外国人を受け入れる特定技能の制度もある。試験を受け、技能実習生から特定技能に切り替えることもでき、日本で働き続ける外国人もいる。

 先月31日、和歌山労働局が昨年の県内の外国人雇用状況を発表した。それによると、県内で働く技能実習生・特定技能は1493人。県内の外国人労働者数3390人の約3分の1以上を占めているが、増加率は前年に比べ2%減少している。

 人と人協同組合では、技能実習生・特定技能合わせて30人以上を支援。実習生の国籍は中国とベトナムが中心で、主に農業に従事している。支援内容は、入国などの事務手続き、日本の法律などの講習会の開催、就労先との調整のほか、実習生の悩み相談にも対応する。

 実習生は就労する事業所と面接し、契約が決まった上で入国する。通常は半年で手続きが終了するが、組合では2020年12月に2人が入国して以来、13人が入国待ちの状況が続いている。人と人協同組合事務局の扇田さんは、「受け入れ準備は万全なのに、もう1年以上待たされ、手続きが進んでいません。就労先の人手不足も差し迫っています」と嘆く。なかには、日本に来るのをあきらめた実習生もいるという。

 日高郡内にある就労先の農園では、1年ごとに3人ずつ入れ替えながら受け入れを行っているが、コロナの影響で計画通り進んでいない。先に入った実習生らの在留期間終了が迫っているが、帰国も困難な状況。母国へ帰らなければならないのに帰れないもどかしさも続く。

 扇田さんはそんな実習生たちを献身的にサポートしている。今月6日には、県国際交流センターが主催したオンラインイベントに協力、中国の実習生らとともに春節の文化を楽しむ機会をコーディネートした。中国の切り絵や踊りを披露し、実習生らもいいリフレッシュになった様子。扇田さんは「彼らはとても真面目で仕事もできる。コロナで大変なこともたくさんあるが、できることがあれば何でもサポートしていきたい」と話している。