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梅システム守る地域の力

 みなべ・田辺の梅システムが2015年12月15日、世界農業遺産に認定されて間もなく6年。印南町民の筆者は本紙面を通じて記事にふれるだけであまりピンときていなかったが、みなべ町を担当して2年余り、現地で梅システムを目の当たりにすると、なるほど本当によくできた循環サイクルだと感心させられる。平地が少なく、恵まれた土地とはいえない地域で、400年以上にわたり高品質の梅を栽培し続けているのは先人の努力のたまもの。唯一無二だからこそ、全国シェア6割を誇る日本一の産地を確立できたのだと思う。

 紀州備長炭の原木となるウバメガシなどの薪炭林、ニホンミツバチが非常に重要な役割を果たしているのが面白い。薪炭林を残すために山全体を梅畑にしないという習慣が守られてきた。薪炭林は土砂崩れを防ぎ、美しい水を川に提供。ミツバチは梅の受粉に欠かせず、寒い時期に花が咲く梅にとって、寒さに強いニホンミツバチとの共生は特に評価されている。何よりもこのシステムが脈々と受け継がれてきたことが大きな価値であろう。

 ただ、取り巻く環境は楽観できるものではない。備長炭の原木は不足傾向が続き、ニホンミツバチはここ数年激減している。この大きな課題にみなべ川森林組合や梅郷クラブ、住民有志でつくるビーフォレストクラブみなべ、まちキャンパスプロジェクトなどの団体が立ち上がり、薪炭林や蜜源の森再生へ向けた植樹、ミツバチの巣箱設置などの取り組みが行われている。過去400年の間にもピンチはあっただろう。それを乗り越えてきたのは地域の力。行政を含めた地域一体の取り組みがもっと必要になるだろう。 (片)

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