2017年6月、神奈川県の東名高速道路で夫婦や子どもが乗っていたワゴン車が追い越し車線で停車させられ、後続のトラックが追突、夫婦が死亡した事故があった。この夫がパーキングエリアで駐車位置について注意をした乗用車からあおり運転を受け、無理やり停車させられたことによる事故。注意されたことへの逆恨みが尊い命を奪った。

 昨年6月、改正道路交通法が施行され、急な割り込み、不要な急ブレーキ、車間距離不保持などが「あおり運転」とみなされ、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。しかし、それから1年数カ月、連日のようにニュース番組で危険運転の動画が放送されているように、後を絶たない。

 あおり運転をする人の心理はどうか。ネットなどによると、運転中は顔が見られにくいため人の本性が出やすい。その上で、「他の車に追い越された」「自分の運転が邪魔された」などと、ちょっとしたことで相手に仕返しをすべく、衝動的にあおり運転をするケースがある。怖いのはちょっとしたきっかけでこの心理状態に自分がなってしまうのではないかということ。確かに後続車にピタッと張り付かれてセンターライン側を走られたりすると、いい気分はしない。筆者の場合は左側に停車して道を譲ることを心掛けているが、人によっては後続車の運転に腹が立ち、逆にあおり運転をする側にひょう変する恐れがないとは言えない。仮にその後続車に全く悪気がなく、ついつい車間を詰めてしまっただけだったとしても…。あおり運転は絶対許されるべきではないが、自分の運転が他人に不快や危険な思いをさせていないか、あらためて見直すことも大切だ。  (吉)