写真=事務所前に展示されている木塀(写真は和風、右が松本理事長)

 日高地方の木材、製材業者約20社でつくる日高木材協同組合(松本政彦理事長)は、木材の普及、景観の保全を目指して木塀(もくへい)を開発し、7日に御坊市薗の事務所前モデル展示場でお披露目した。軽くて強度があるため倒れにくいという災害に強い木製の塀。業界とともに地域の振興、循環型社会の実現に向け、設置活動を推進していく。

 同組合によると、林業、製材、加工業者が連携した新しい取り組みで、存在感のある無垢材(丸太から切り出した自然な状態のままの木材)を使用した和風、洋風各4種類の計8タイプ。和風は上部と土台に水切りのいいヒノキ、柱や壁にスギが使われ、自然豊かなまちの景観に馴染む昔ながらのデザインになっている。洋風はオリジナルの支柱を紀州杉で作った柱に差し込んでボルトで固定するシンプルな構造。やりかえ工事や好みのデザインへの交換も簡単という。

 2018年の大阪府北部地震で、倒壊ブロック塀によって女児が死亡して以降、倒壊の危険性があるブロック塀の撤去、改善が促進されるなか、軽量のため地震でも倒れにくい一方、強風にも耐えられる丈夫な造り。8タイプ以外で別注や特注にも対応する。

 お披露目では松本理事長が「ウッドショックもあり、業界が厳しい状況のなか、組合や組合員たちで乗り越えていこうと、地域密着の取り組みとして、災害にも強い木塀を開発しました。ぜひフェンスに替わって使ってもらえ、期待に沿えるよう、業界だけでなく地域の振興へ推進していきたい」とPR。日高地方をはじめ、県内の木材利用に対する需要が低いとし、日高振興局農林水産部林務課の小山幸司課長が「日高地方にも伐採できる木材がたくさんある。育ったのに売れなければお金にならず、関心が薄れて放置されると土砂災害の危険性も高まります。また、世界的に環境への関心が高まるなか、二酸化炭素削減へ木材の利用は重要。そこで木塀は循環利用が可能で、山を育て、環境への配慮に向けて普及できれば」と述べた。

 同組合は各市町で実施されているブロック塀の撤去・改善補助事業もPR。問い合わせは同組合℡0738(22)0434。