美浜町和田で、ひきこもり状態にある人や家族に対する支援活動を行っているNPO法人ヴィダ・リブレ理事長の宮西照夫さん(72)と、経験者2人による講演会が19日、大阪府熊取町の町民会館ホールで行われ、約80人の参加者が耳を傾けた。

 参加者は福祉関係者や府市町の職員、引きこもりの子どもを持つ親などが中心で、なかには大阪市内など遠方からの参加者も多くいた。

 宮西さんは、精神科医として40年以上若者の悩みと向き合ってきた経験から、ひきこもりからの回復支援プログラムについて説明。特に両親や支援者がひきこもりの当事者に対してどう接すればいいのか、どういう言葉をかければいいのかについて時間を割いて講演し、「当事者に対して話しかけるときは、いきなり仕事や社会復帰についての話をするのではなく、趣味や興味関心があることについての話から、心を開いてもらうことが重要です。特に両親は日常生活のなかで、きつい言葉をかけてしまいがちですが、親御さん自身が不安で仕方がないという気持ちを伝えた方が、うまくいくケースが多いです」とアドバイスした。

 続いて、社会復帰を果たした経験者の男性(34)は、「ヴィダ・リブレでの仲間たちとの交流が、自分を前向きな気持ちに後押ししてくれました」と話し、ひきこもり当事者が安心できる居場所作りの重要性を訴えた。

 熊取町で福祉委員を務める樋口恵子さん(66)は「自分の身近なところに、ひきこもっておられる方がいないとは限らないですし、誰にでも起こりうることだと思うので、人とのつながりを大切にしていきたいと思いました」と話していた。