東京五輪は国内勢の大活躍で閉幕。日本勢は金27個、銀14個、銅17個、全部で58個のメダルを獲得した。とくに北京に続き2大会連続13年ぶりVのソフトボール。終盤のスーパープレーが忘れられない。

 日本は6回裏、1死一、二塁の守備。三塁手が鋭いライナーを手に当ててはじくと遊撃手がそのままダイレクトキャッチ。飛び出した二走もアウト、併殺に切って取り、2点差を守り切って優勝を決めた。テレビで見て思ったのが、ボールに対する選手の集中力の高さ。三塁へ飛んだ打球を二塁で難なく併殺にしてしまうのだからすごいの一言である。

 今シーズン、大リーグの大谷翔平選手(エンゼルス)の活躍でスポーツニュースがよく紹介される。例えば右中間を破ろうかというライナー性の打球。これがなんと遊撃手に捕球されてアウトになるようなケースもたまに見られる。日本なら完全にヒット、あわよくば二塁打だが、簡単に処理される。最近は日本でもシフトという言葉が聞かれ、どこでだれがアウトにされたのか分かりにくい。

 仕事に例えると役割(ポジション)は決めてはいるが、やらなければならないことに境界はない。他人のポジションにいても打球がくればアウトにしなければならないのだ。チームの勝利のためにだ。五輪の日本代表はそれができていたのが素晴らしい。「これ、僕の仕事じゃない」なんて他人事に思えば金メダルになんて手は届かない。全て自分への打球だと捕球したあとのシミュレーションが数秒後にものをいってくる。

 最近、自分のためにはやるが人のためには動かない人もいる。五輪とコロナ禍の今、全員に金メダルの働きが求められるところと、見習いたい。(賀)