写真=功績者表彰の賞状を手に塩谷さん

 漁業の発展に多大な功績があった漁業者をたたえる全国漁業協同組合連合会の漁業振興功績者表彰に、御坊市塩屋町南塩屋、有限会社協栄漁業取締役の塩谷昇さん(57)が選ばれた。県内では1人だけで、所属する紀州日高漁業協同組合からは初めての受賞。約40年間にわたって漁業に従事し、長年、県漁業士連絡協議会会長を務めていることなどが認められた。

し、漁業者の模範として漁業の振興や発展に寄与した漁業者に贈られる賞。今回は全国で36人の受賞となった。関連する漁協運動功労者表彰では全国で31人、県内では和歌浦漁協の組合員が受賞した。

 塩谷さんは16歳から漁業を始め、アジ、サバ、イワシなどを水揚げする中型まき網漁業やサワラなどを狙う一本釣漁業に従事。現在も紀伊水道に船を出して漁に励んでいる。学校の授業で組合を訪れた小学生らに魚の種類やまき網漁の仕方などを教えるなど地域学習にも協力。2年前に女性漁業士に認定された妻の奈緒美さん(55)も水揚げされた魚を選別するなど夫婦で漁業に携わっている。

 1981年に漁協の正組合員となり、94年に明日の海を考える会の会長、97年からは県中型まき網連合会の副会長に就任。県漁業士連絡協議会の会長は09年から現在まで6期12年間の長きにわたって歴任し、漁業の振興に尽力している。

 表彰式は東京で行われる予定だったが、新型コロナのため中止となり、16日に和歌山市で開かれた県漁業協同組合連合会の総会の席上で賞状が伝達された。

 塩谷さんは「組合の職員や周囲の漁業者の力添えがあったからこそ受賞することができた」と支えてくれた人たちに感謝し、「漁業を始めた当時は今より水揚げも多かったし、魚の価格も高かった。昔よりも利益率が低下しているが、子どもが漁師を継いでくれている。今回の賞を励みに頑張っていきたい」と話している。