9都道府県の緊急事態宣言の期限が6月20日まで延長されることになった。感染者は東京、大阪などで減少傾向にあるが、いま油断をすれば再拡大の恐れがあるとの判断だ。

 懸念されるのは、感染力が英国型の1・5倍ともいわれるインド型の変異ウイルス。すでに世界の約60カ国・地域に広がっており、ある専門家は「時間の予測は難しいが、今後、英国型と置き換わる可能性がかなり高い」という。

 感染拡大を抑えるために外出自粛や飲食店に営業時短を求め、経済を落ち込ませないためにGoToキャンペーン等の政策を打つ。政治家は慎重かつ的確なアクセルワークが求められるが、どちらも重要だからこそ批判の声は止まない。

 オリンピックも東京で緊急事態宣言が続くようなことになれば開催できるのか。しかし、ようやくワクチン調達のめどが立ち、菅首相は先月、高齢者の7月末までの2回接種完了を目標に掲げ、一気にアクセルを踏み込んだ。

 読売新聞のドキュメントによると、自治体の現場の混乱を恐れたワクチン担当の河野大臣は何度も首相をいさめたが、6月には雰囲気が変わるとにらみ、「何を言われようが、ワクチンだけで突き進む」と答えた。

 課題の打ち手不足解消には、医師・看護師のほか自衛隊、さらに救急救命士、臨床検査技師も投入することを決め、医師会の反発が予想された歯科医師の活用については、先手を打って国民に考えを表明し、日本医師会トップとの直接交渉で協力をとりつけたという。

 菅首相はどうも伝わりにくいが、非難の嵐のこの国難を突破するため、ワクチン接種の加速に賭けて猛然と走り始めた。御坊市も7月中の完了を目指す。首相の命運やいかに…。 (静)