ギリシャ神話のプロメテウスが、主神ゼウスの元から火を盗み、人類に伝えたことを記念して、古代オリンピック開催中にともされていたのが起源という。オリンピック聖火である。1928年アムステルダムオリンピックで復活してから、現在も五輪のシンボルとして受け継がれている。東京五輪2020の聖火リレーのコンセプトは「希望の道を、つなごう。」で「支えあい、認めあい、高めあう心でつなぐ聖火の光が、新しい時代の日の出となり、人々に希望の道を照らしだします」。

 聖火リレーは関西トップを切って9、10の2日間、県内で行われた。日高地方でも御坊市で希望の光がリレーされ、地元ランナーも3人が大役を務めた。本紙11日付の紙面で、それぞれの思いや感想が掲載されている。新型コロナ禍、五輪開催を心配する声があるのも事実だが、そんな不安を吹き飛ばすかのような、まさに希望を持つことができた聖火リレーだったのではないだろうか。

 もう一つ、大きな希望をもらったことがある。競泳の池江璃花子選手である。白血病を乗り越え、東京五輪切符を手にした。どれだけ鍛錬を積んだのだろう、どれだけ自分を奮い立たせただろう、想像するだけで勇気をもらえる。

 池江選手に限らず、五輪を目指すアスリートは皆、目標に向かって想像を絶する鍛錬を積んでいる。その成果を披露し、競い合い、さらなる高みへと導く舞台、それが五輪。だからこそ見る人に感動と希望を与えるのだろう。東京五輪、なんとしても開催しよう、そんな気持ちを持つことが、自分にできることではないか。それが支え合い、認め合い、高め合う心につながると思う。(片)