新型コロナウイルスの感染が加速し、最初の緊急事態宣言が出されてから、間もなく1年がたつ。

 年間行事を取材することが多い筆者ら記者は去年の今頃、軒並み取りやめとなるイベントの中止を知らせる記事を書いていた。得体の知れないウイルスのため、学校は有無を言わさず休校になり、近隣で感染者がいなくても、会合、イベント、式典など、とにかく人が集まるものはすべて中止となった。しかし今年は、人の密集が避けられないイベントは別として、規模縮小や換気、人との間隔、マスク着用や手指消毒など対策を施し、実施される行事のお知らせや取材記事を書いている。県内は感染者が少ないということもあるが、1年でウイルスの特性や対策を学び、ウィズコロナ時代に合った方法で開催に踏み切る順応性がとてもたくましく、また頼もしく感じる。

 先日、東京などの緊急事態宣言は効果が曖昧なまま解除。人の往来が増加し、感染者数のリバウンドで第4波に入ったなどと報道もある。変異株の増加も危惧される中、この頼もしさを国に期待したいと思うのは筆者だけではないだろう。唯一明るい話題のはずのワクチンも未だ各自治体への入荷予定も定まらず、コロナの対策や支援を大いに議論されるべき国会も接待問題に時間を取られた。そして野党が「第4波を防げなければ内閣総辞職に値するのでは」という考えを発表した。

 職や収入を失った人、疲弊する医療業界の一方、飲食店などの休業や時短要請に一律感があった協力金で一部では「給付金バブル」などと言われている。1年前とは違い、今まさに苦しみ、本当に支援が必要な人に手を差し伸べられるよう、与野党が協力して途切れることなく取り組んでほしい。(陽)