県教育委員会による県立高校再編の検討が進んでいる。昨年8月には諮問機関の「きのくに教育審議会」が再編案を答申。それには県立全日制高校を現在の29校から今後15年で20校程度に減らすことが示された。

 全日制高校を3分の1程度減らすことを目標とする再編案に多くの心配の声が上がり、昨年10月に行われた紀中エリアの懇談会でも、地域衰退などを心配する声が大半を占めた。

 答申やそれらの意見を受けてこのほど出された県教委の骨子案では、具体的な学校数は示されなかったが「現在の県立校を可能な限り存続させる」という方針が出された。13日には主に日高、紀央館を対象とする説明会が開かれたが、担当者は当面、両校とも現状のままで、充実させていくと説明した。

 筆者はここ数年、日高と紀央館を担当しているが、両校とも特色ある学校と言える。日高は国立大学などへの進学者も毎年一定数あり、また国際交流や地域学習など幅広い分野で人材育成に取り組んでいる。紀央館も工業技術などで優れた面があり、有名企業への就職者や地元企業で活躍する人材も多く出ている。また両校ともスポーツや文化などのクラブ活動では全国出場選手を輩出するなど、十分な成績を残している。

 両校とも現状では十分役割を果たしているだろう。ただ説明会で示された御坊・日高地域の中学卒業生数は減少傾向で、15年後には現在の3分の2になる見通しだ。

 もちろんそうならないように各自治体も力を入れているが、少子化は全国的な流れであり、すぐに解決することは難しい。「日高と紀央館をいずれは一つに」と県の担当者が述べていたが、そう遠くない将来、本格的な議論が必要になる日が来るのだろう。(城)