きょう2月3日は立春。暦の上ではもう春だ。日本一の梅の産地みなべ町では特産の南高梅のかれんな白い花もちらほらと咲き始め、寒い中でも春の訪れを感じさせてくれ、心がいくぶんか和む。昨年の今頃、まれにみる暖冬の影響で梅はすでに満開を迎え、南部梅林は咲き誇る花の中でオープンするという異例の初日を迎えたのが昨日のことのように思い出される。今年は今のところ平年並み、この「並み」がどれだけ難しくありがたいか、身に染みる立春である。

 2月といえばみなべ町では毎年、大きなイベントやスポーツ大会でにぎわう月。南部梅林は例年多くの人出でにぎわう大きな観光資源。スポーツでは全国から強豪チームが参加する梅の里小学生バレーボール大会に始まり、里山を駆け抜ける梅の里トレイルラン、高校生グルメ甲子園と梅の種飛ばしなどで多くの人が訪れるUME―1グランプリと目白押しのはずなのだが、今年はコロナ禍ですべて中止や延期となった。今年は仕方ないが、一旦やめたからといって火を消してはならない。次に開催できるまでに力を蓄える、充電期間ととらえたい。

 コロナのニュースが増え始めて、ちょうど1年ほどになる。過ぎてしまえばあっという間、いやしかし耐えに耐えた1年だった。ようやくワクチン接種も具体化し、長いトンネルの先に光が見え始めた。だからこそ、業種や事業規模の大小にかかわらず、耐え忍んで今を頑張っているすべての人たちに救いの手を差し伸べる政治や行政であってほしいと願う。もう少しだから耐えてではなく、もう少しを耐えるために今こそ支援が必要な時ではないか。国民の心を一つにできるのも政治の力だろう。(片)