みなべ町の高城中学校(瀬戸敬二校長)で9日、世界農業遺産に認定されている「みなべ・田辺の梅システム」について、生徒が調べたことを披露する発表会が開かれた。2年生13人が今年度、地域住民に聞き取りなど行って勉強したことを、寸劇やパワーポイントで分かりやすく紹介。400年続く梅システムが地域住民の生活や自然環境を守っているとし、「これからも守り継承していこう」とメッセージを送った。

 みなべ町の魅力を伝える「まちキャンパスプロジェクト」のチームリーダー上野章さんやみなべ川森林組合の松本貢参事らから教えてもらったり、自分たちで勉強したことを踏まえ、一人ひとりがテーマを決めて取り組んだ。生徒13人のうち今回は選抜の6人(1人欠席)が披露した。発表の前には「みなべ・田辺の梅システム」について生徒がミツバチや梅農家にふんして寸劇で分かりやすく伝えるなど工夫を凝らした。

 体育館で行われ、1年生と保護者の前で永井結羽さんは「世界農業遺産」、岡怜奈さんが「水源涵養」、大前なみさんは「ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違い」、森本結愛さんは「自家受粉について」、玉段椋大君は「梅とミツバチの関係」、箱木真理菜さんは「南高梅」をテーマに調べたことを堂々と発表した。生徒たちはパワーポイントを使い、ミツバチが梅の受粉に欠かせない働きをしていること、ミツバチの活動時期には農薬散布などをしないようにしていること、山の傾斜地で梅を栽培し落ちた梅を拾い集めやすいようにしている工夫などを説明し、「梅栽培、薪炭林の活用、ミツバチとの共生があったから世界農業遺産に認定されたのだと思う。これからも守り継承していこう」「山頂の薪炭林や傾斜に植えた梅が雨水の保水力を高め、洪水や土砂災害を防いでいる」「南高梅の梅干しは、生産者と加工業者の密接な連携によって産出されている」などと自身の考えも交えながら発表した。

 瀬戸校長は講評で「地元資源のすばらしさやふるさとの課題を理解した上で、ふるさとを大事にする心を育んでほしい」とさらに取り組みを進めていくことを期待した。発表を聞いたまちキャンの上野さんは「しっかり内容を把握しているからこそ、すごく分かりやすく伝えられていた。これからも勉強を続けてほしい」と話していた。

写真=寸劇で梅システムを説明する生徒