少子化による人口減少は当面、とどまることはなさそうだ。県教育委員会の資料によると、県内の中学校卒業者数は、1989年(平成元)の1万8014人をピークに減少が続いており、今年3月の卒業者は8607人とピーク時の半分以下。さらに15年後には5974人と3分の1になると予想されている。この状況下、きのくに教育審議会が県教委に答申した県立高校再編案では、15年後に現在の全日制29校を20校程度に減らすことを指摘した。これを受けてみなべ町では、南部高校の未来を創造する会を組織し、県教委との懇談会が開かれた。

 南部高校の未来はどうなるのか、不安が募っていたが、県教委の説明では「南部高校は農業の核となるべき学校」「普通科についても南高に通いたい生徒がいる限りなくすことはありえない」と明言され、出席者も安心した内容だったように思う。終了後の県教委職員が、「残るから安心だと終わるのではなく、学校をよくしたいという熱い思いを持ち続けてこれからも活発に活動してもらいたい」といっていた。今後のよりよい学校運営に欠かせないことだろう。この学校に進学したいと思わせる特色が、今後より必要になってくる。

 野球、サッカー、バレーなど県外の強豪校へ進学する生徒も増えている。ということは、スポーツでも文化部でも授業内容でも、魅力があれば県外から生徒を呼べるということでもある。懇談会でも意見が出たが、南部高校の実習棟を活用して調理師免許を取得できるカリキュラム、県うめ研究所と連携した5年制専門学校化など、県教委としても絵にかいて終わるのではなく実現に向けて進めてもらいたい。生徒の集まる学校づくりは地域活性化にもつながる。(片)