社会資本のメンテナンスに係る優れた取り組みや技術開発を表彰する第4回インフラメンテナンス大賞の受賞者が決まり、名田周辺土地改良区(前田敏雄理事長)が今年度の特別賞に選ばれた。農林水産省など政府の7省が共催で、大賞の大臣賞に次ぐ賞。農業用水の供給施設の監視システムをウェブ化し、省力化につなげていることが評価された。

 インフラメンテナンスに関わる事業者、団体、研究者等の取り組みを促進し、メンテナンス産業の活性化や普及を図ることを目的に2016年に第1回を実施。今年度は農林水産省関係で大臣賞2件、特別賞2件、優秀賞7件が選ばれた。

 名田周辺土地改良区は御坊市野口地内の日高川から取水し、御坊市熊野周辺から印南町印南付近までの海岸沿いを中心に農業用水を供給。受益面積は265㌶で、うち畑が大半を占める。

 同改良区は1961年に設立。管理する揚水機場や16カ所の分水施設などの老朽化が進み、停電や送水ポンプ故障など年間400件程度の故障警報が発生するという。

 トラブルが発生した場合、揚水機場や分水施設に足を運んで操作パネルを確認して故障場所や内容を確認しなければならず、4人の職員だけで管理することが大きな負担となっていた。このため、17年度から施設管理をインターネットを利用してウェブ化し、揚水機場と分水施設の操作パネルを事務所のパソコン、職員が所有するスマートフォンやタブレットでも把握できるようにした。故障による警報が発生すると、パソコンやスマートフォンなどに自動的にメールで通知。画面上でトラブルの緊急性などが確認でき、迅速に対応できるようになった。システムをリセットするだけの軽微な故障なら事務所や職員のパソコンなどで操作でき、さらに複数の故障が発生した場合でも優先順位を判断できるようになり、効率的な施設管理につなげている。

 前田理事長(68)は「農業用水の供給は片時も止めることができない。今後も安定供給に努めていきたい」と話している。

写真=事務所のパソコン画面前で前田理事長