県立高校の再編案について、県教委が住民の意見を聞く懇談会が21日、みなべ町ふれ愛センターで開かれた。宮崎泉県教育長は「南部高校は農業の核となる学校、普通科も特色ある内容を考えていきたい」とし、今後充実発展させていく学校であるとの認識を示した。参加者からは資格や英会話が習得できる学校、うめ研究所と連携した専門学校化などさまざまなアイデアが出され、前向きな議論が進められた。

 きのくに教育審議会が今年8月、今後15年で全日制高校を現在の29校から20校程度に減らすことなどを指摘した答申を受け、みなべ町内の町議や各種団体など有志で南部高校をよりよい学校にしていこうと、南部高校の未来を創造する会(会長=小谷芳正町長)を組織。県教委に懇談会の開催を要望していた。

 県教委は冒頭、答申を受けて今後の方針を盛り込んだプログラム案を12月に提示し、住民から意見を募った上で今年度末に作成する予定を明かし、「皆さんの意見を聞かせていただきたい」とした。

 宮崎教育長は「南高を盛り立てようという皆さんの思いは非常に心強い」と感謝し、「私たちは農業に力入れていく。世界一の梅の産地にある南部高校は当然残っていく。核となって発展させていかなければならない」と減らす対象ではないことを強調。答申案についても「29校を今後20校程度という点がクローズアップされ、どこが減るのかという不安が広がったが、ありきではない」とした。

 創造する会があらかじめ提示していた質問にも回答し、県教委の清水博行企画監は「普通科は市域に1つという再編案だが、それでは全然足りない。大きな市と市の間に残さなければならない学校は必ずある。ちょうどこの学校の地域はこの考えが当てはまる。南部高校に来たいと思っている子供がいる限りは、学校をなくすことはありえない」と明言した。ただ、みなべ地域から南高に通っているのは約3割程度で、普通科も食と農園科も定員割れとなっている現状から、思いを持った生徒の集まる学校にしていくことが重要だと強調。農業科の推薦入試導入や調理師をはじめ資格の取れるカリキュラム、普通科についても単なる普通科ではなく地域を学んだり、スポーツに力を入れた特色ある普通科にしていくことが今後検討していく課題だとした。

 参加者からは「グローバル化の時代、日常会話のできる英語ができれば幅が広がる。点数の英語をやめて、しゃべれる英語を取り入れてはどうか。いろんな国と姉妹提携して、互いに半年間ホームステイする。南高に行けば留学できて国際的に学べるといった特色を持たせてはどうか」「高等専門学校にして5年やればどうか。みなべにはうめ研究所があり、素晴らしい技官がいる。スマート農業を学びにオランダへいくとか、カリキュラムを組めば全国から人を集められる。農業大学専門学校ができれば、私たちも求人を出す」「ストレートに南部高校にうめ科を作っては」など活発な意見が出され、教委側も「具体化できる話もたくさんあり、検討していきたい」とした。