みなべ町の高城中学校(瀬戸敬二校長)で19日、ふるさと学習が開かれ、2011年9月の紀伊半島大水害で夫を亡くした那智勝浦町の久保栄子さん(77)が自作の紙芝居を披露し、命を守る備えの大切さを訴えた。

 総合的な学習の時間を活用したふるさと学習の一環で、高城・清川地区は山間部で土砂災害の危険性があることから、久保さんを講師に招いた。

 久保さんは水害時、自宅があっという間に浸水。夫と娘と3人で濁流の中を軒の樋(とい)につかまったこと、3㍍先の駐在所に避難しようと飛び込んだが流され、途中でたまたま柵をつかむことができて命が助かったこと、娘は屋根に上ることができて助かったが、夫が濁流に流されて亡くなったことなど生々しい体験談を紙芝居を通じて伝えた。「なくした命は二度と戻ってこない。隣近所の人もたくさん亡くなった。早めの避難をすれば一人も亡くならなかった。とにかく早めに避難することを忘れないで」と訴え、「皆さんはいろんな可能性を秘めている。人生いろいろあるが、絶対に諦めず生き延びてほしい。苦しいこと、命にかかわることがあっても、前向きに生きてほしい」と命の大切さや心の持ちようをアドバイスした。

写真=紙芝居で命の大切さを訴える久保さん