御坊市が進めている新庁舎の建て替え事業に、国の緊急防災・減災事業債が適用されることになった。二階俊博自民党幹事長から連絡があった。同事業債は津波浸水区域外へ建て替える庁舎に適用されるが、御坊市が計画している新庁舎が津波浸水対策を万全に講じていることが、「区域外への移転と同等の機能を有する」と認められた。当初予定していた事業債より有利な起債で、市の持ち出しは実質約10億円抑えられることになる。

 三浦源吾市長や柏木征夫前市長が二階幹事長と総務省などに、同事業債を活用できるよう要望を行っていた。19日、総務省から二階幹事長に「要件を満たすため、要望通り対応する」との連絡が入った。

 緊急防災・減災事業債は東日本大震災を教訓として設けられた事業で、庁舎の建て替えでは津波浸水区域内から区域外への移転建て替えが対象となっていた。御坊市は▽ほかに適当な高台がない▽広さを確保できる市有地がない▽住民の利便性――などを考慮し、現在地で建て替えることを決めている。

 現在地は3連動地震では浸水しない想定だが、南海トラフの巨大地震では最大3・5㍍浸水区域内になる。そこで1階に課を配置せず、ピロティ(柱のみ)方式とホール機能を持たせる浸水を考慮した方式を採用し、電源を浸水の心配がない上部に設置するなど津波対策を万全に講じていることなどから、区域外への移転と同等と認められた。

 同事業債は対象事業費の充当率100%で、元利償還金の70%を地方交付税措置(1億円借りると7000万円が地方交付税として市に算入される)の有利な起債。市では当初、市町村役場機能緊急保全事業債(充当率90%、地方交付税措置22・5%)を活用する計画だった。庁舎新設の事業費約46億円のうち対象となる約28億円を緊急防災・減災事業債を活用することで約19億円の交付税措置を受けられる。当初の計画通り役場機能緊急保全事業債の場合、対象となる約41億8000万円を活用して交付税措置は約9億円だったため、比較すると約10億円、市の負担が減ることになる。

 三浦市長は「有利な事業債を適用していただいて本当にありがたい。二階幹事長はじめ国、県などすべての関係者に感謝したい。市民の皆さんが利用しやすい安全で安心な庁舎にしていきたい」とコメントした。

 新庁舎は鉄筋コンクリート造り地上5階建て。延床面積7177平方㍍。現在、実施設計を行っており、来年9月末までに完成。来年秋には着工し、2023年8月に竣工、同10月から供用を開始する計画。24年7月までに現庁舎を解体し、跡地は駐車場となる。

写真=仮設計の新庁舎の完成予想図